わたしがわたしを好きでいつづけるために、いま改めて美しく生きることについて考える。仕事への向き合い方から、日常における意識の持ち方、身体に取り入れるものや習慣にまつわるお話を通して、自身の好きに素直に生きる6名の女性にインタビューする連載企画です。第1回は、フリーランスのヘアメイクとして活動する池田さんが登場。活動拠点を変えることで見えた自分の軸や、仕事と生活のバランスについてお話しいただきました。

人生を大きく揺るがす、師匠との出会い

昔から、ファッション誌やコレクションの本を見るのが好きだったという池田さん。現在のヘアメイクにいたるまでに、どんな経緯があったのだろうか。
「高校卒業後の進路を決めるとき、元々は服飾に行きたいなと思っていました。服飾の専門学校にいくつか見学しに行ったのですが、あまりイメージが湧かなくて。でも、作品づくりや撮影に携わることをしたくて、昔から従兄弟のヘアアレンジをしたり髪をいじるのが好きだったなと思い出し、美容学校に行くことに決めました」
大阪の美容学校に入学し、美容師の道へ進むべきか悩んでいたころ、東京のサロンと合同のヘアショーが開催されることに。ショーのモデルとして声をかけられ出会ったのが、その後就職することになるサロンのオーナーだ。「歳は離れていたんですが、とにかく話が面白くて。初めてここで働きたい！と思ったんです。彼は元々ロンドンでヘアをしていた人で、美容だけじゃなく、建築や映画、音楽、食事など、アートを勉強しなさいとよく言われていました」
その後、オーナーのもとで4年半のサロンワークを経験。次に大きな転機となったのは、約2年間のワーキングホリデーだった。

夢のロンドンへ
パンデミックと現地の暮らしで見えたもの

「ロンドンの現場はすごく刺激的でした。エディトリアルの企画で、セットデザイン、照明、プロデューサーもいるなんて初めて。香盤はコールタイムしか書いてなくて、終わり時間がない（笑）。とにかくいいものが撮れるまでみんなで頑張っていました」
ロンドンで順調に経験を積んでいた最中、突然のパンデミックで仕事が止まることに。ワーホリという限られた期間の中でもどかしい気持ちがあった一方で、大きな気づきも得られたという。
「ロンドンは物価が高いので生活が大変で。日本食レストランで夜中までバイトして、翌日撮影に行って、の繰り返し。東京の生活と変わらなくて、なんでこんなに働いてるんだろうって思ったんです。そうしたらパンデミックになったことで、初めてゆっくりした生活になって。その頃ロンドンはすごく天気がよくて、毎日公園に行っては友達とビールを飲んでいました（笑）。これまで過ごしたことのない時間を過ごせて、すごく楽しかった。こういう何もしない時間だったり、趣味に使う時間が本当に大切だと思いましたね。自分がやりたいこと、大事にしたいことについても考えるきっかけになりました」

自分の心の声に素直でいること
美しい人は楽しんでいる

興味を持ったことに蓋をせず、自由に挑戦を続ける池田さん。彼女にとって、美しい人とは。「自分の人生を楽しんでいる人。仕事をたくさんしてるからすごいとか、頑張ってる人が偉いとかって前は思っていたんですけど、それがしんどかったら違うなって。その人が満足のいく生活をしていることが大事だと思います」

アート本やロンドンの骨董市で購入したという陶器やジュエリーが並び、池田さんの好きが溢れているご自宅。生活も仕事も我慢をするのではなく、心地のいいバランスを自身に問いかけながら、楽しく向き合っていることが伝わってくる。自分が美しくあるために、また髪の毛を触るヘアメイクというお仕事としても欠かせない、ヘアケアについての話を聞いた。

「私の髪は乾燥しやすいので、オイルが必需品。昔はショートヘアだったのでワックス派でしたが、いまはセットというよりもおさめたいのでオイル派ですね。ミューツのオイルはすごく軽くてサラサラしてて、香りも強くないので使いやすいです。冬は重めに、春夏は軽めになど、仕上げたい質感に合わせて重ね付けで調整ができるのは良いですね。1日家に引きこもる日だったり、お風呂上がりに少し髪を整えたいという時など、様々な場面で気軽に使えるのは助かります」

【Profile】
Naho Ikeda
1992年2月生まれ。大阪府出身。ヘアサロン「boy」で4年半の勤務を経て、独立。その後ロンドンにて2年間のワーキングホリデーを経験し、2021年帰国。現在はフリーランスのヘアメイクとして、ファッションや広告撮影など幅広く活躍している。
instagram：@naho__ikeda

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