第3回
TALK to Me
私をつくる
家族の時間と心の余裕

第3回<br>TALK to Me<br>私をつくる<br>家族の時間と心の余裕

COLUMN

TALK to Me — 肌が教えてくれる、わたしごと。—
第三回目のゲストは、三児の母、そして「JSELF(ジゼルフ)」のクリエイティブディレクターとして大阪と東京の二拠点で多忙な日々を送る、高園あずささんが登場。新たな挑戦に込める想いや仕事と家族、それぞれの時間を心地よく楽しむ秘訣についてお話を伺いました。

私をつくる 家族の時間と心の余裕


— 三人のお子さんを育てながら忙しい日々を送るなかで、
新ブランドの立ち上げという挑戦を始めたきっかけについて教えてください。

二年半前に独立をしたタイミングで、夫の仕事の都合で大阪に移住することになり、生活環境が大きく変わったことがきっかけです。大阪で家族の時間を過ごしながら、一、二週間に一度東京に通って仕事を行うスタイルへと変わったことで、家族と向き合う余裕が生まれました。一年前に三女を出産したのですが、いっぱいいっぱいだった上の子たちのときとは違って、また新しいことに挑戦したいと思えたんです。以前は、外にいつも矢印が向いていて、身体も心も疲れやすかったけれど、もっと自分に矢印を向けて自分の人生を楽しめるようなマインドになったことが大きいですね。

— 今年の9月にローンチされた新しいブランドでは、
どのような世界観を大切にモノづくりをされているのでしょうか?

今回はお洋服だけでなく、コスメと陶器も一緒にローンチしたのですが、身に纏ったり、身の回りに置いていただくことで心地よさを感じたり、ちょっとした自信につながってほしいという想いが全ての商品の軸になっています。私自身、心に余裕がなかったときは不安定な気持ちが家族にも影響してしまったり、モチベーションを保つことに難しさを感じていたので、個人的な裏テーマとして、自分に矢印を向けた人生を歩んでもいいんだよというコンセプトを伝えていけたらと思っています。

— コスメと陶器というアイデアはどこから来ているのですか?

ブランドを通して理想の女性像を演出していくうえで、私にとってリップはとても重要なアイテム。つけることで自信を持つことができたり、気分が上がったりと、これさえあればスタイルが完成するというものが一つでもあると心強いと思い、コラボでオリジナルのリップをつくりました。陶器は私の地元、佐賀県に古くから伝わる伊万里鍋島焼でリップ用の収納ケースをつくっています。佐賀県は陶器が有名で、何百年も続く窯元さんがたくさんいらっしゃるのですが、少しずつ過疎化が進んでいるという現状があって。少しでも地元の魅力が伝わるものがつくりたいという思いから商品化を決めました。


— お仕事だけでなく、育児や家事との両立、
さらには二拠点生活と多忙な日々を送るなかで、
良質なアウトプットを行うために意識されていることはありますか?

夏は国内、冬は海外というように一年を通してさまざまな場所に旅に出るのが家族の中でもルーティンになっていて、そこで出会うものや景色などに刺激をもらっています。特に海外は、日本と比べて環境が整っていないところが多く、そういったいい意味での雑さや甘さに魅力を感じます。あとは、忙しいときほど人と喋って自分の考えを整理することも。友人たちもそうですし、子供たちを寝かしつけたあとに、夫と二人で何時間もひたすら喋っているということもあります。

— とても素敵な習慣ですね。
家モードと仕事モードの切り替えはどのようにされていますか?

私にとっては東京と大阪を往復する新幹線で過ごす時間がスイッチになっています。東京へ向かう新幹線では、すぐにパソコンを開いて仕事モードに。帰りは反対にぼーっとスマートフォンで動画を見たり、自分の好きなことだけをしてどんどんオフモードに戻していく。そうやってメリハリをつけることでもっと家族と向き合えるようになったし、東京ではぎゅっと予定を詰め込んで仕事に集中できるようになりました。私の場合は好きな仕事が息抜きになっていて、ママじゃない自分の時間があることで、心に余裕が生まれているように感じます。

— 良質なアウトプットのために普段から意識されていることはありますか?

自分の気持ちをきちんと伝えること。自分自身の本当の気持ちに一番近い言葉の選び方ができるように、パッとアイデアが思い浮かんだ時は忘れないようにメモをしておくとか、気持ちを記録して覚えておくことを意識的にしています。日常生活のなかで、「いいな!」と思ったものをちゃんと逃さないみたいな。そういう日々のちょっとした気づきみたいなものが通りすぎないように、しっかり捕まえておくということを大切にしています。

— そのスタンスは、ご自身の環境やライフステージが変わったことで
変化されたのですか?

そうですね。昔はお客さまやブランドなど “誰かのため” というのが仕事のモチベーションだったのですが、子供という存在ができたことで “誰かのため” というのは必然であるからこそ、自分を満たすために使う時間に目が向くようになったんだと思います。ママであろうと、ママじゃなかろうと、ましてや結婚していてもしていなくても、そんなの関係なくいろんな環境でそれぞれが感じてること、抱えてることがあると思いますが、誰もが自分のために生きる時間があってもいいんじゃないかということを伝えたくて。自分にやさしくしないと、他人にやさしくできないですからね。


— 三人のお子さんの妊娠、出産にともなって
心や身体、肌に影響を感じることもありましたか?

私は妊娠のたびに20キロ近く太ってしまう体質で、自分のブランドの洋服を着て発信するという仕事なのに、容姿が否応なしに変わってしまったことで自信をなくしてしまうこともありました。特に一人目のときは、自然とSNSの投稿も減ってしまって。そこから二人目が翌年に生まれ、その二年間はとにかく必死で、自分のことを考える余裕がないまま、あっという間に過ぎていった感覚でした。でも、三人目からは明らかに意識が変わったんですよね。

— それは大阪での暮らしが影響しているのでしょうか?

三人目を産んだときに自分でも驚くほど気持ちが晴れたんです。それまではどうしても周りの似たような環境や同世代の人と比較して、自分はどうしてできないんだろう?とか考える必要もない自分の存在意義に悩んだり、ネガティブなことを考えてしまうことが多かったのですが、三人の子供を産んで、毎日めまぐるしかった環境がさらに忙しくなり、どうせなら仕事も家庭も楽しみながら二拠点生活をやっちゃおう!そんな状況を楽しんでる人はなかなかいないはず!と思ったら、だんだんと比較対象がなくなった感覚でした。今の時代、SNSがあることで自分自身と比べる対象が多すぎると思います。でもそもそも比較する必要なんてないんですよね。自分に矢印を向ける時間を意識的に増やしていけば、自然と前向きになることができました。

— オンとオフを切り替えるサイクルがつくれたことで、
気持ちの余裕が生まれたんですね。

周りにも一人で家事や育児を頑張っているお母さんたちがたくさんいますが、お母さんが自分の時間をつくれるように家族が協力することって本当に大事。個人的な意見ですが、お母さんが笑っているかどうかが、家族の一日の空気を左右すると思うんです。そうすることで子供たちも穏やかになるし、のびのびしてくれる。お母さんがイライラしていたり、切羽詰まっていると子供たちに伝染するので。誰もが自分の時間を整えることって本当に大切だなと思っています。


— TOUQU to tone というブランド名には、
「価値のあるものに触れることで、調子を整える」という由来があります。
高園さんが日常でご自身を整えるために大切にしている時間はありますか?

肌を整えたり、身なりを整えたり、自信を持てる自分になれるように頑張る時間が活力になると思っていて。子供たちが寝た後に、一人でゆっくりお風呂に入ってスキンケアをしたり、保育園に行っている間に、美容室やネイルサロンでメンテナンスをしたりと自分の時間につぎ込むようにしています。それらは自分と向き合う時間にもつながるので、意識していますね。

— 肌と向き合うなかで、自分の身体や心のサインに気がつくこともありますか?

20代まではあまり肌に気をつかっていなくて、日焼け止めは塗らない、パックもしない、化粧を落とさずに寝て朝シャン……なんて日も珍しくないくらいズボラでした。それが、産後半年経ったころから全身にシミが出るようになってきて。それからは年齢を重ねるごとにシワや髪のパサつきなど気が回っていない部分に気づきやすくなりました。いつでもお洒落して出かけたいと思えるような自分でいることが心の健康につながると思うので、変化を感じたらできるだけ美容の時間を多くとるようにしています。

— 美容アイテムを選ぶときに、大事にしているポイントはありますか?

美容にはいろいろなポイントがあると思うのですが、私はそのブランドに込められた想いや背景、あとは見た目から興味を持つことが多いです。私のブランドもそうですが、生活のなかで視界に入るものが好きなものだとより心地良さにつながると思っていて。デザインがいいなと思えると、使っている自分のことも好きになれると思うので、見た目はとても重要なポイントですね。

— スキンケアや美容の分野で自分に合うものを見つけるために
工夫されていることはありますか?

すごく難しいですよね。自分では合っていると思っても、もっと綺麗な人もいっぱいいるし、もっと良くなれるのかもしれないって思い出すときりがない。私はSNSなどで綺麗だなと思う人を見つけては、その人がおすすめしているものを素直に試すようにしています。合う合わないはもちろんあるので、とにかく無理のない範囲でトライアンドエラーを繰り返して、今の自分に合っているものを見つけられたらと思っています。


— TOUQU to tone の商品を実際に使ってみた感想を教えてください。

プロダクトのカラーリングや世界観が好きです。なかでも「クリームウォッシュ」は、洗い上がりの肌がつっぱらず、ほどよくしっとりしていてお気に入り。香りのクセも強すぎないので、心地よく使い続けることができます。もう一つは「ナノバブル モイスチュアローション」。もともとすごい敏感肌で、クリニックやエステにいくと「保水力が足りないから化粧水をたっぷり重ねてください」といわれることが多くて。普段から乾燥を感じるとたくさん重ねるようにしているのですが、このアイテムは重ねても表面に溜まる感覚が全然もないし、すぅっと肌に馴染むテクスチャーが気に入っています。

— 最後に、これから先どんな肌で、
どのように歳を重ねていきたいですか?

理想は日焼け止めだけで過ごせる肌。もちろん、シワなど自然な変化は受け入れて、できる限り健康的に素肌の力をあげていきたいです。やっぱり肌が健康だと心も健康になれるし、心が健康だと周りにもいい影響があると思うので、そういう人でありたい。あとは、自分の人生を諦めない自分でいたいです。そこに向かってこれからも挑戦し続けていきたいと思っています。


【Profile】
高園あずさ(たかぞの あずさ)
佐賀県出身。2011年、アパレルブランド「Ungrid」に入社後、プレスとして上京。その後、クリエイティブディレクターを約8年間勤める。2021年12月にはフリーランスのクリエイティブディレクターとして独立。2024年9月に自身のブランド「JSELF(ジゼルフ)」をローンチ。プライベートでは、家族で暮らす大阪と東京での二拠点生活や、三人の娘たちとの子育てなどライフスタイルにも注目が集まっている。

instagram:@azusa_takazono



【Staff credit】
Photograph: Yu Inohara
Interview&text: Mikiko Ichitani

 

TOUQU to tone トークトゥトーン

素肌ととのう キレイはぐくむ

調子のいいとき ちょっと疲れているとき
肌はいろんなサインを教えてくれる

肌にふれ 心にふれる
スキンケアタイムは自分をととのえる
価値ある時間

素肌がきれいになっていくと
誰かに思わず話したくなる
きっと肌の方から語りだす

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